富士フイルム(4901)は、写真フィルムで創業し、現在はヘルスケア、高機能材料、グラフィックコミュニケーションなど多角的な事業展開で世界クラスの技術力とグローバルなブランド力を誇る企業です。
事業バランスが良く、ヘルスケアや液晶ディスプレイなどが強みといえ、安定した収益を誇っていますが、世界的にヘルスケア順位が13位と稼ぎ頭としては少し不安があり、株価が高い事が気になります。
この記事は,私が勉強のために調べた事や今までの知識をアウトプットした内容です。
投資を始めたい方や少額投資を考えてる方などに適した内容で書いているつもりです。
上級者やもっと詳しく知りたい方は、この記事以外も参考にしてください。
富士フィルムの会社概要
設立
1934年1月20日
2006年10月2日に富士フイルムホールディングス株式会社に商号変更。
本社所在地
[東京ミッドタウン本社]
東京都港区赤坂9-7-3
[西麻布本社]
東京都港区西麻布2-26-30
従業員数
71,893人(連結)
代表取締役社長
後藤 禎一
事業内容
- ヘルスケア(事業セグメント別売上高:32.9%)
- メディカルシステム(ヘルスケア内セグメント別売上高:68%)
- バイオCDMO(ヘルスケア内セグメント別売上高:21%)
- LSソリューション(ヘルスケア内セグメント別売上高:11%)
”医療IT・機器などのメディカルシステム事業と、バイオ CDMO事業、ライフサイエンス事業・医薬品事業・コン シューマーヘルスケア事業・CRO事業からなるLSソリューション事業で構成されています。”
- エレクトロニクス(事業セグメント別売上高:12%)
- 半導体材料(エレクトロニクス内セグメント別売上高:56%)
- AF材料(エレクトロニクス内セグメント別売上高:44%)
”AI・IoT時代の生活を支える通信機器、センサー、次世代 ディスプレイなどに向けた高機能材料を提供しており、半導体材料事業とアドバンストファンクショナルマテリアルズ事業(AF材料事業:ディスプレイ材料、産業機材、ファイ ンケミカル)で構成されています。”
- ビジネスイノベーション(事業セグメント別売上高:39.2%)
- ビジネスソリューション(ビジネス内セグメント別売上高:68%)
- オフィスソリューション(ビジネス内セグメント別売上高:68%)
- グラフィックコミュニケーション(ビジネス内セグメント別売上高:68%)
”業種・業務の特性に合わせたシステムインテグレーションやクラウドサービス、複合機管理ソリューション、基幹業務プ ロセスのBPO、ITOなどによりお客様のDX・働き方改 革を通じた課題解決に貢献するビジネスソリューション事業、複合機・プリンターなどのオフィス機器・消耗品を提供するオフィスソリューション事業、オフセット印刷用機材やデジ タル印刷システム、インクジェット関連製品を提供するグラフィックコミュニケーション事業で構成されています。”
- イメージング(事業セグメント別売上高:15.9%)
- コンシューマーイメージング(イメージング内セグメント別売上高:63%)
- プロフェッショナルイメージング(イメージング内セグメント別売上高:37%)
”カラーフィルムやインスタントフォトシステム(instax“チェキシリーズ)、プリント機器、カラーペーパー、写真プリント サービスなどを提供するコンシューマーイメージング事業と超高画質の「GFXシリーズ」や小型・軽量・高画質の「Xシ リーズ」などのハイエンドミラーレスデジタルカメラ、放送・ シネマ用レンズ、監視・工業検査用レンズ、遠望多目的カメ ラ、プロジェクター、デジタルサイネージなどを提供するプ ロフェッショナルイメージング事業で構成されています。”
富士フィルムの強みと課題
強み
- ヘルスケア事業における世界クラスの技術力
診断に適した画像を提供するための画像処理技術やAI技術、”アンメットメディカルニーズに応える医薬品の開発を可能に する高度な化合物合成・設計力やナノテクノロジー”、”バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託の分野で生かせる一 定条件製造技術や品質管理技術などの高い技術力”そして”世界トップクラスのiPS細胞の初期化・分化誘導技術や培地 の開発力”を競争優位性を持っており、画像部門や電子カルテなどを事業としていた”株式会社日立ヘルスケア・マニュファクチャリング”を子会社とした事によりCTやMRIなどの医療機器も取り扱う事になり、医療業界での立ち位置は高まっていると個人的には考えます。
バイオCDMO事業は、デンマーク拠点における製造実績(”トラックレコードの 蓄積が認められ、米国FDAからの信頼を得てお り、FDAの承認前査察のうち25%は現地査察が 免除”など)、パッチ生産や連続生産に対応した体制(”バイオ医薬品の原薬の製造工程である、培養から精製までの全工程をつなぎ、原薬を連続一 貫生産できる500Lの連続生産システムを業界で初めて構築”)、次世代バイオ医療品の展開では、業界でもトップクラスといわれています。
世界シェアランキング13位(1.19%) 化学業界国内ランキング3位(1位は三菱ケミカル)
- 高機能材料事業における高い収益性
”フィルムに高い機能性を付与するための機能性分子技術など の先端技術”や”薄膜化や大型化などに対応できる高度な製膜および塗布技術”などが競争優位性といえ、半導体材料の強固なグローバルサプライチェーンと幅広い工程をカバーするラインナップによる世界に信頼される半導体材料企業を目指しており、エレクトロニクス材料”(フロー合成、高純度液化、無機粒子形成、液晶による光学 制御など)”を基盤に通信・エネルギー領域のビジネス拡大により高い収益性を維持していると思われます。
引用元:富士フイルム
- グローバルな事業展開
世界中に272拠点を有しています。
(北米エリア:30社、中南米エリア:4社、アジア・オセアニアエリア:110社、欧州エリア:75社、中東・アフリカエリア:5社)
海外売上高比率は,米州(21.7%)、欧州(15.9%)、アジア他(26.9%)となっており、国内は35.4%となっています。
- ブランド力
富士フイルムのブランド力は、国内では誰もが知るブランドで信頼性も高いと思われ、その原動力といえるのが、人財力といえ、人材ポートフォリオ戦略が高さ、「”1.本質的な課題を設定し、役割年代にかかわらず取り組む 、2.自分が主体者となり、部門やグループを超えて 周囲を巻込み実行する、3.どんな事業・機能領域においても 変化は成長のチャンスと捉え挑戦する”」の3つのコアコンピテンシーを養いながら人材育成や働き方改革などのサステナビリティな活動、”仕事の基盤となる 課題形成力を強化する独自のマネジメントサイクル「STPD(See-Think-Plan-Do)」”、”主体的な学びを支援・促進するためのプ ラットフォーム「+STORYアカデミー」や、多様な従業員が自身 の経験や学びを共有する社内オンラインライブ「+STORY LIVE」など、従業員の成長を多面的に支援する多様な施策”と人材戦略が優れており、ブランド力の高さを維持し、イノベーションのたかい従業員がそろっているといえます。
そのほか、ビジネスイノベーション事業においてA3カラー複合機が日本・アジア・オセアニアで販売台数No1となっており、”ITリソースが不足する中堅・中小企業向けに、「ITソリューション」「業務ソリューション」「基幹ソリューション」の3 つのステージを網羅する商材を展開”しており、イメージング事業においてインスタントフォトシステム(instax“チェキシリーズ)のグローバル累計販売数8000万台以上と撮影からプリントまでできる総合力など強みとし、ビジネスイノベーションは、ヘルスケアと同程度の売り上が比率を誇っており、コア事業の一つといえます。
課題
- ヘルスケア事業における競争激化
世界シェア1位のメドトロニック(6.69%)と2位ジョンソン&ジョンソン(5.11%)となっています。
医療品は、日本では、保険点数削減、商品になるまでの工程の長さなど日本特有の課題があり、臨床に出てからのフィードバックによる改善などに個人的には発展しない原因の一端となっていると思っており、医療機器でもフィリップス、シーメンス、GEヘルスケアのCTやMRIは日本の製品より抜けている部分があると思われ、低価格やメンテナンスの身軽さで対抗しているのが現実と考えていますが、フラットパネルなどは、日本トップレベルの画質を誇り、画像処置やAI分析などでも定評があり、世界でも戦っていける技術といえます。
CTやMRIに関してもきっと世界を席巻する日も来ると信じています。
- 新規事業の育成
世界と戦うにはヘルスケアやマテリアルだけでなく、新規事業として化粧品などの事業展開に力を入れており、研究開発が進んでいると思われ、人財力を活かしたイノベーション力とヘルスケア技術の高さで、新規事業の育成ともに化粧品やサプリメントの開発をしていくと思われます。
今後の展望
富士フイルムは、「中期経営計画 VISION 2023」に基づき、ヘルスケア事業の成長を加速するとともに、高機能材料事業や新規事業分野にも積極的に投資していくとしています。
富士フィルムの株価指標(PBR,PER,ROE,ROA,配当,株主優待など)
2024年10月21日
- 株価:3666円(4901)
- PER:17.68倍
- PBR:1.39倍
- 時価総額:約4.6兆円
- 発行株数:約12億株
- ROA:5.46%
- ROE:8.21%
- 売上高(前期比):約2.96兆円(3.6%) 来期予想:約3.04兆円
- 営業利益(前期比):約2767億円(1.3%)来期予想:約3145億円
- 配当利回り:1.64% 配当性向:24.7%(24/3) DOE:2.02%
5年間チャートです。
引用元:SBI証券https://site1.sbisec.co.jp/ETGat
ヘルスケアやマテリアルが昨年度より落ちていますが,その他は増益となっており、全体的に好調をキープしており、来期予想も好業績となっており、ここ数年で業績は伸びています。
株主優待
保有株式数:100株以上
優待内容:当社グループヘルスケア商品優待割引販売*
詳しくはこちら
引用元:富士フィルム
同業界と比べてPER,PBR,ROA,ROEともに比較的割安と考えます。
DOEは↓
来期予想業績も良く、貸借倍率は16.49倍で回転日数は7.5日となっており、株価上昇を予想する投資家も比較的多く、値動きがあると考え、徐々に株価上昇する可能性があります。
富士フィルムのNISA銘柄としてのメリットとデメリット
NISA銘柄としてのメリットはヘルスケア、半導体関係マテリアル、液晶などバランスよく収益があり、安定していると思われ、配当は少し少ないですが、2024年3月期に増配予定(年間1株130円→150円)と配当性向30%を目指している事から業績好調で、増配すると思われます。
社債格付けもAAやA-1+と高いランクといえることからも高い信用度があり、安定株といえます。
デメリットとしては、世界的にヘルスケアの競合他社とランキングの差があり、バランスは良いもののヘルスケア分野の稼ぎが大きいため、ヘルスケア業界の競争激化が、懸念されるところです。
株価も少し高いので、単位株で100万円近くする事もデメリットといえます。
株価購入を考えてる方は、個人の判断でお願いしますが、今年は動向を探りつつ、購入の機会を伺うか、ドルコスト平均法の購入方法で少しずつの購入が良いと思います。
詳しくは下の記事で↓
この記事はbradの質問を参考に作成しました。
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引用元:富士フィルム